メガネフレームメーカー 福井めがね工業のオリジナルブランド Muge(ムゲ)は、メガネとしてはめずらしいカーボン素材を用いたフレーム「Muge by DRY CARBON」を発売した。
このフレームには、カーボンの中でも、航空機や F1マシンで使われるドライカーボンをぜいたくに使用。これまでのカーボン製フレームはモダンなデザインのものが多い中、末永く使うことができるよう、ウェリントンやボストンといったクラシカルなデザインを採り入れている。
メガネとしてはレアなドライカーボン製
(写真1)Muge(ムゲ) Glam。コーティングにより目立ちにくくなっているものの、カーボン特有の柄がうっすらと見える。
image by 福井めがね工業
ドライカーボンとは、オートクレーブと呼ばれる加圧可能な窯で焼き固めて成型されるもので、一般にカーボンと呼ばれるものの中でも、きわめて強靱に仕上がるのが特徴。しかし、完全な手作業となり、製造コストが高いため、レーシングカーのパーツや航空機の翼など使われるものは限られている高級な素材だ。
ドライカーボンは、一般的な金属と比べると重さは約1/4、強度は約10倍となっており、メガネフレームとしてはオーバースペックと言っていいだろう。しかし、言い換えれば、日常的な状況で考えられるほとんどの衝撃に耐えられるほどの性能を持っていると言えるだろう。
末永く使えるようクラシカルなデザインを採用
(写真2)Muge(ムゲ) Glam。image by 福井めがね工業
Muge(ムゲ)のドライカーボンフレームでは、末永く使うにはベーシックなフォルムがふさわしいとの考えから、ウェリントン(写真2)やボストン(写真4)といったクラシカルなデザインを採用している。
よりベーシックなスタイルにするために、あえてカーボン特有の柄が目立ちにくいよう「マットクリアコート」が施されているのもポイント。それにより、いい意味でカーボンを意識せずに掛けることができるのだ。
(写真3)Muge(ムゲ) Jamm。image by 福井めがね工業
また、ドライカーボンの強度と軽さを最大限に生かすために、レンズを固定するフロント部分は厚さ3mm、テンプル(つる)は厚さ2mmと、できる限り薄く仕上げられている。
さらに、テンプルとフロントをつなぐ部分には弾力性の高いベータチタンを使うことでクッション製を高めているほか、テンプルの先端部には一般的なメガネフレームと同じ樹脂パーツを使うことで耳のカタチにあわせて調整できるなど、掛け心地をよくする工夫も施されている。
(写真4)Muge(ムゲ) Duke。image by 福井めがね工業
希望小売価格は3モデルとも280,000円。初回生産後の販売は、受注生産となっている。
280,000円という価格は、メガネフレームとしては正直とても高価だ。しかし、ドライカーボンという素材をふんだんに使い、手間ひまを掛けてぜいたくに作られていることを考えると、納得できるのではないだろうか?