スマートフォンでメールやウェブサイトを見るときには、本や新聞などを読むときよりも文字が小さく、目に近づけて読んでいるため、メガネの度数を測るのに大きな影響がある…という研究結果が、American Academy of Optometry(注1)が発行する「Optometry and Vision Science」に掲載されている。
その研究では、スマートフォンユーザー129人を対象に調査。フォント(文字)のサイズや眼からどのくらい離してみているかを、スマートフォンと新聞など紙に印刷されたものとで比較している。
まず、フォントのサイズを比べた結果は、メールの場合には紙に印刷されたものと大差はなかったが、ウェブサイトのフォントサイズは紙の印刷物よりも小さいものが多かった。
また、眼との距離については、紙の印刷物を見るときには一般的に40cm程度のことが多いのに対して、メールを読むときには平均36cm、ウェブサイトを見るときには平均32cmと、紙の印刷物を見るときに比べて、かなり距離が近いという結果が出ている。
見るものの距離が近いほど、眼のピント合わせ能力が必要になる。その結果、眼は疲れやすくなってしまうのだ。
この研究結果でも触れてられているが、現代の生活にはスマートフォンやケータイなどが欠かせないものとなっているので、スマートフォンやケータイが眼に与える影響、メガネ選びに与える影響は見過ごすことはできないだろう。
「視生活」をチェックして、ライフスタイルに合ったメガネを選ぼう
そこで、メガネを作るにあたっておすすめしたいのは、日常生活の中での見るという行為…「視生活」をチェックしてみることだ。
例えば、スマートフォンやケータイをどんな姿勢で、どのくらいの距離で見ているか?メールを読んだり書いたりするときと、ウェブサイトや動画を見ているときでは姿勢や距離が違うかもしれないし、満員電車の中では距離が近くなりがちなので、眼が疲れやすいと感じているひともいるかもしれない。
また、パソコンも要チェックだ。デスクトップか?ノートパソコンか?でも違ってくるだろうし、机や椅子などの環境、また体格などによっても、眼と画面の距離や角度などが違ってくるだろう。
さらに、一日の中で、スマートフォンやケータイ、パソコンを見ている時間はどのくらいか?、だいたいでもいいのでつかんでおくといいだろう。
そんな風に、自分の「視生活」をメガネ屋さんに行く前にチェックしておくと、「視生活」やライフスタイルに合った度数やレンズを選びやすくなるはずだ。
メガネ店などで視力検査(検眼)をするときには、例えば次のようなことを聞かれるだろう。
- 「今使っているメガネはよく見えますか?」
- 「目が疲れることはありますか?」
- 「パソコンは使っていますか?」
- 「クルマの運転はしますか?」
それを聞かれたときに、「視生活」をチェックした結果を、視力検査(検眼)をするスタッフにできるだけ伝えるのがおすすめだ。
また、視力検査(検眼)の中で見え具合をチェックするときには、スマートフォンやケータイをふだん通りに見たりして、ストレスなく見えるかどうかを納得のいくまで確かめてみよう。
(注1)American Academy of Optometry は直訳すると「アメリカ検眼学協会」といったところだろうか?ちなみに、アメリカではメガネの度数を測るのに Optometrist(オプトメトリスト)という資格が必要とされている。
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スマートフォンやケータイ、パソコンに優しいメガネレンズ。いずれも、眼に負担を与えやすく、液晶画面から多く発せられている「青い光」をカットすることで、眼の負担を和らげてくれる。
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