公益財団法人日本デザイン振興会は、2011年度のグッドデザイン賞の受賞結果を10月3日(月)に発表した。
受賞件数1,112件のうち、メガネ関連のものは全部で8点。フレームやサングラスをはじめ、自分で簡単に度数を調節できるメガネや、従来のものよりもパソコンやケータイが見やすい遠近両用レンズ、眼への負担を増大させる「青い光」を約10%カットするレンズコーティングまで、幅広い分野のものが選ばれている。
TAG HEUER L-TYPE LW
(C)JIDPO GOOD DESIGN AWARD [ G-Mark Library ]
審査委員の評価
デザインの精度が高く、評価できる。全体のフォルム、細部のデザイン、チタニウム、カーボン、レザーなど異素材の組み合わせの妙、高性能レンズなど、いずれも高いクオリティーを保ち、ていねいにデザインし尽くされており、スポーテイでラグジュアリーな逸品である。
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グッドデザイン賞ウェブサイトの紹介ページ
世界で最も権威のあるデザイン賞とされるレッドドット・デザイン賞も受賞
MYKITA MINT COLLECTION, "TAKUMI"
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審査委員の評価
ステンレスのシートメタル製の薄厚フレームは、非常に繊細なラインと軽量化を両立している。またビスを全く使用しないレンズ固定方式や渦巻き上に折り曲げられたようにみえる独自成型蝶番は、精度感ある機能美が、感じられるディテール表現がなされていると評価された。またこのモデルは、アジア、日本市場向け専用に開発されたオーセンティックなスタイリングでありながら日本人の骨格をベースに設計されている。
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MYKITA(マイキータ)とは
MYKITA(マイキータ)は、ドイツ・ベルリンを拠点とするメガネブランド。これまで「ミキータ」と呼ばれていたが、2010年秋より「マイキータ」に変更されている。
Moritz Krueger(モーリッツ・クルーガー)、Harald Gottschling(ハラルド・ゴットシュリング)、Daniel Haffmans(ダニエル・ハフマンズ)、Philipp Haffmans(フィリップ・ハフマンズ)の4人のクリエイティブ集団が中心となって2003年に設立、2004年にパリのメガネ展示会 silmo にてデビューした…【続きを読む】
シャルマン ゼット / ZT11766, ZT11767, ZT11768, ZT11253, ZT11254
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審査委員の評価
従来に無いバネ性を備えた次世代チタン合金「エクセレンスチタン」素材をフレームデザインに導入する事で、快適な掛け心地を実現している。新たなる技術開発によって新しいデザイン価値を創出している点やあえて新素材のバネ性を可視化した点も評価された。
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エクセレンスチタンとは
エクセレンスチタンは、大手メガネフレームメーカーであるシャルマンと、金属研究の世界的権威である東北大学金属材料研究所との共同開発により生まれたもの。しなやかな弾力性があり、型くずれしにくいほか、金属アレルギーの原因となりやすいニッケルを含んでいないことが特徴で、加工性にも優れていることから、さまざまなデザインを作り出すことができるのも魅力だ。
また、メガネフレームとして製品化するにあたっては、大阪大学接合科学研究所との共同研究により実用化した最先端の光加工技術を駆使している。
エクセレンスチタンを使ったメガネフレーム
いずれも日本の大手メガネフレームメーカーであるシャルマンによるもの。
ゼログラ,ZEG-008
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審査委員の評価
軽量、復元弾力性、耐久性、などで定評のあるベータチタン採用のメガネフレームは、市場には存在したが、海外製品が多く価格も高価であった。本対象は、ジャパンテクノロジーの具現化を開発コンセプトに低価格化とフレーム重量3.7g(最軽量モデルのみ) の両立を実現している点が、評価された。 独自のイオンプレーティングによるジャパンカラー展開も魅力的である。
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ZEROGRA(ゼログラ)とは
【最軽量 3.7g 眼鏡市場の新作メガネ ZEROGRA(ゼログラ)】
レンズ込みで15,750円から、さらに超薄型レンズを選んでも追加料金0円という安さで人気のメガネ店眼鏡市場は、「かけているのに、かけていないような無重力のかけごこち」をうたった新作メガネZEROGRA(ゼログラ)を西日本で先行発売した。
プレスリリースによると、ZEROGRA(ゼログラ)の最軽量モデルはわずか3.7gという、これまでのものに比べて大幅な軽量化に成功。さらに、通常のメガネフレームには欠かせない蝶番(ちょうつがい)をなくした独自の「スマートアーム構造」により、頭部をやさしく包みこむ、理想的なフィット感を実現している…【続きを読む】
アドレンズ エマージェンシー
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審査委員の評価
視力に合わせ、度数が調整できるメガネである。こちらは2枚のレンズを調整して、度数を変化させる仕組み。災害時、緊急時のスペア用ということで、用途も限定的である。こうした製品の開発は高く評価したい。災害時など、メガネを無くした視力の劣る人は、人より一層ストレスがあると想像できる。こうしたメガネの備蓄も必要かと思われる。
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自分で度数を調節できる仕組みとは
東日本大震災の被災地へ提供された
- 度数を調節できるメガネ adlens emergensee(アドレンズ エマージェンシー)発売、1,000本が被災地へ
- 度数を調節できるメガネ adlens emergensee(アドレンズ エマージェンシー)が福島県、宮城県の被災地に
災害などに対するメガネユーザーの備え
アドレンズ p.o.v
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審査委員の評価
視力に合わせ、度数を調節が出来る液体レンズの革新的なメガネである。ファッションナブルとは言いがたい、やや無骨なデザインだが、発展途上国を始め、災害時等、用途は多岐にわたると思える。開発の趣旨、開発したレンズは高く評価できる。今後、先進国での商品化の際には、デザインのバリエーションに期待したい。
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度数を調節できる仕組みとは
メガネが必要なのにメガネを持っていないひとが95%
サハラ以南のアフリカの国々では、メガネが必要なのひとの95%がメガネを持っていないという。眼科医やメガネ技術者がいない、またはメガネを買うことが経済的に困難なためだ。
そうしたひとにメガネを配布するプログラム Vision for a Nation(ビジョン・フォー・ア・ネーション)を通じて、adlens(アドレンズ)P.O.V.が提供されている。
メガネが必要なのにメガネを持っていないことで、黒板の字が見えない生徒や仕事に困っている人々は、adlens(アドレンズ)P.O.V.を手に入れることで教育や仕事の機会を生かして、生活の質を向上できるようになるのだ。
遠近両用累進屈折力メガネレンズ [プレシオ・ライフ]
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審査委員の評価
パソコンやケータイが更に見やすくなるように作られた新しい遠近両用レンズの技術設計によって、より快適なライフスタイルを想起できるとともに、遠近両用レンズの使用シーンの広がりも創出できている。外観によるスタイリングデザインではないが、実際の生活環境の変化から起こるニーズに対応する新しい技術開発や製品開発である点は、一つのデザインであると評価された。
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GLAFAS(グラファス)によるレビュー
筆者はニコン・エシロールの協力でテスト用レンズを装用してみたが、ほかの遠近両用レンズに比べ、パソコンの画面やケータイを見るときに視界が広く、見やすいことが体感できた。
パソコンやケータイ、iPad などのタブレット、デスクワークでの見やすさ、快適さを重視するひとや、メガネ店でテスト用レンズを試してみて、ほかのレンズのとちがいや快適さを実感できるひとには、おすすめのレンズだ。
メーカー公式サイトの紹介ページ
青色光カットコーティング [ニコン シークリア ブルー]
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審査委員の評価
無色レンズでありながら、青色光をカットするコーティング によって、従来使用シーンが 限られていたカラーレンズに変わり、よりストレスや疲労の少ないライフスタイルを創出できている。外観によるスタイリングデザインではないが、実際の生活環境の変化から起こるニーズに対応する新しい技術開発や製品開発である点は、一つのデザインであると評価された。
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青い光は眼への負担を増大させると言われている
可視光線、すなわち目に見えて、色として感じることができる光は、色によって波長が異なっている(写真1)。目に見える光・色の中でも波長が短く、エネルギーが強い「青い光」は、まぶしさやチラつきの原因となっている。
パソコンや携帯電話などのデジタル機器やテレビ、中でも最近主流となっているLEDの画面からは、「青い光」が特に多く発せられており、眼への負担が大きくなっている…【続きを読む】
青色光をカットできる仕組みやメリット・デメリット
パソコンやケータイの普及にともない青色光は注目を集めている
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