メガネフレームメーカー大手のシャルマンがおこなったアンケート調査によると、メガネやコンタクトレンズを使ったことがないひとの半数以上が、「メガネをかけていると視力がさらに悪くなる」、「メガネをかけると肩こりや目が疲れやすくなる」といったイメージを持っていることが明らかになった。
この結果を受けて、専門家(眼科医)は「無理に裸眼で頑張ろうとせずに、適正なメガネで視力を矯正することで、視力の低下を抑え、健康も向上します」と指摘している。
およそ半数が「裸眼の視力が落ちそうな気がする」と回答
(グラフ1)「メガネをかけていると、目の筋肉が衰え、裸眼の視力が落ちそうな気がする。」という質問に、「そう思う」または「ややそう思う」と答えたひとは半数以上。
「メガネをかけていると、目の筋肉が衰え、裸眼の視力が落ちそうな気がする。」という質問に、「そう思う」または「ややそう思う」と答えたひとはおよそ半数の50.4%(グラフ1)。
つまり、メガネやコンタクトレンズを使ったことのないひとのうち半分は、「メガネをかけることで視力が落ちそう」というイメージを持っていることがわかる。
「肩こりや目の疲れがひどくなりそう」と思っているひとが半分以上
(グラフ2)「メガネをかけていると、肩がこりやすくなり眼が疲れやすくなる気がする。」という質問には、半数以上のひとが「そう思う」または「ややそう思う」と回答。
また、「メガネをかけていると、肩がこりやすくなり眼が疲れやすくなる気がする。」という問いに対して、「そう思う」と答えたひとと「ややそう思う」と答えたひとを合わせると53.8%(グラフ2)。
メガネやコンタクトレンズを使ったことのないひとの半数以上が、メガネに対して「肩こりや目の疲れがひどくなりそう」と思っているようだ。
メガネのよさは理解されていない?
(写真1)by William Hook
メガネやコンタクトレンズを使ったことがないひとの半数以上が、「メガネをかけていると視力がさらに悪くなる」、「メガネをかけると肩こりや目が疲れやすくなる」といったイメージを持っているというアンケート結果を受けて、かわばた眼科の川端秀仁医師は、次のようにコメントしている。
「眼鏡ほど、とても有用にも拘わらず、その良さを理解されない道具も 少ないのではないでしょうか?眼鏡を装用しないと、ある程度の度数の近視や乱視ではものがぼやけて見え、勉強や仕事がままなりません。 遠視や老眼で、眼精疲労から頭痛や全身の疲れに至ることもあります。適切な度数なら眼鏡を装用したからといって近視や老眼が進むことはありません。幼児期で必要な眼鏡を装用しないと、視力が育たず弱視になることがあります。また遠視に斜視が合併し立体視が育たないこともあります。眼鏡装用によって持てる視機能を最大限に活用し、快適に生活をすることが大切です。」
また、川端医師以外にも、ネット上にはメガネの有用性を訴える医師がいる。
例えば、ふじもと眼科(兵庫県西宮市)のホームページでは、近視について次のように書かれている。
ご両親のなかには、メガネを掛けて近視が進んだことを経験した、もしくはそんな話を聞いたことから、子供のメガネの装用を極力遅らせる方がいらっしゃいます。しかし、必要以上に強い度数のメガネを掛けない限りメガネを掛けることで進行が早まることはなく、メガネを掛けても掛けなくても同じように近視は進むものと理解してください。授業中だけメガネを掛けるような、掛け外しをしても進み具合は同じです。
さらに、このページでは、「メガネを掛けない事によって起こる問題点」についても書かれている。
ある程度までの近視ならばメガネを掛けなくても問題はないのですが、中等度ぐらいまで近視が進行しているのにもかかわらずメガネを掛けない場合、矯正しても視力が出にくいことが多く、必要以上の度数のメガネを掛けているケースを時々見かけます。また本来、遠くを見るとき両目はまっすぐ前(開散)、近くを見るとき両目は内による(輻輳)という動作が四六時中行われているのですが、メガネを掛けていないとこの動作がスムーズに行われず、メガネを掛けると物がふたつに見えると訴えることもあり、必要な時期が来ればメガネを掛けさせるべきです。
また、奈良県大和郡山市にある松本眼科の院長は、老眼とメガネとの関係について、自身のブログで次のように書いている。
眼鏡をかければ老眼が進行すると誤解されているのは、
- 老眼は誰でも進行します。老眼鏡をかけ始める45歳から50歳にかけては、老眼が一番進行する年齢で、そのために、老眼鏡をかけはじめてしばらくするとその眼鏡も徐々にまた見えにくくなってくるので、老眼が進行したように錯覚する。
- 老眼鏡をかけると、今まで以上によく見えるようになったために、それまで裸眼では当たり前と思っていた見え方が、より見えにくいと感じる
というのが主な原因と思われます。
また、逆に、老眼鏡を早いうちからかけても老眼が止まるということもありません。
しかし、老眼鏡をかけずに無理してみていると・・・・・
- 弾性の低下した水晶体を厚くするためには今まで以上に力が必要で、より疲れやすくなること
- 何年かして、もう少し老眼が進行してから、いよいよ眼鏡をかけたときに、初めてかける老眼鏡の度数が強くなるために、なかなかなじまないということ
という理由で、あまり我慢するのも考えものです。
手元のものが見えにくくなってくれば、早いうちに眼鏡をかけられたほうが良いでしょう。
メガネをかけると目がよくなる?
(写真2)「近視進行抑制研究の参加者募集のご案内 « 京都府立医大病院眼科」(スクリーンショット)
今回紹介したアンケート結果を見ると、メガネをかけると目が悪くなると思っているひとも多いようだが、最近では、メガネをかけることで近視が進むのを抑えようという研究もおこなわれている。
京都府立医大病院眼科では、ホームページ内に「近視進行抑制研究の参加者募集のご案内」を掲載している。
この研究では使われるのは、その名も「近視進行抑制眼鏡」。このメガネは、近視が進行する原因のひとつと考えられている「周辺部の焦点ずれ」を抑えるものだ。
「周辺部の焦点ずれ」とは、目の中にある網膜の中心ではピントが合っているものの、周辺部ではピントがずれてしまうという状態のこと。京都府立医大病院眼科では、この「周辺部の焦点ずれ」を抑える「近視進行抑制眼鏡」をかけることで、近視の進行を抑えることができるかについて研究している。
この研究の結果によっては、「メガネをかけると視力が悪くなる」どころか、「メガネをかけると近視の進行が抑えられる」日が来るかもしれない。
今回紹介したアンケートの概要
シャルマン「第1回メガネに関するアンケート」
- 回収サンプル数・・・メガネやコンタクトレンズを使用したことがない人を対象、361(首都圏中心 関東1都6県 20代~40代の男女361人)
- 調査期間・・2011年11月25日~12月2日
- 調査方法:インターネット調査
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