パソコンやスマートフォンなどの画面から多く発せられ、まぶしさやチラつきの原因となるなど眼への負担を増やすとされるブルーライト(青い光)をカットするメガネレンズ(コーティング)「ヴィーナスガードコート ラピス」が、大手メガネレンズメーカーの HOYA(ホヤ)から2月21日(火)に発売された。
また、同じく大手メガネレンズメーカーのセイコーオプティカルプロダクツからも、同様の「スーパーレジスタンスコートBR(ビーアール)」が4月2日より発売される。
いずれも新開発のコーティングにより、ブルーライト(青い光)をカットすることで、まぶしさやチラつきが抑えられ、スッキリとした視界を得ることが期待できる。
眼への負担を増大させるブルーライト(青い光)とは
(写真1)可視光線の波長とエネルギー。image by ニコン・エシロール。
可視光線、すなわち目に見えて、色として感じることができる光は、色によって波長が異なっている(写真1)。目に見える光・色の中でも波長が短く、エネルギーが強いブルーライト(青い光)は、まぶしさやチラつきの原因となっている。
パソコンや携帯電話などのデジタル機器やテレビ、中でも最近主流となっているLEDの画面からは、ブルーライト(青い光)が特に多く発せられており、眼への負担が大きくなっている(写真2)。
(写真2)従来のブラウン管に比べて、最近主流となっているLEDは、「青い光」が強い。image by ニコン・エシロール。
厚生労働省が2008年に発表した「技術革新と労働に関する実態調査結果」によると、パソコンを用いた作業(VDT(Visual Display Terminal)作業)で、身体的な疲労や症状を感じている労働者の割合は68.6%となっており、中でも「目の疲れ・痛み」を訴えるひとが90.8%と最も多くなっている。
パソコンを用いた作業は「眼の疲れ・痛み」のほか、「首、肩のこり・痛み」、「腰の疲れ・痛み」などを引き起こすことが多く、ニコン・エシロールによれば、そうした状態が進行すると、苛立ちや焦燥感、不眠症などの精神神経症状などを引き起こす「VDT症候群(パソコン病)」や「テクノストレス」につながると考えられているという。
「青色光を軽減して目にやさしさを。」
(写真3)HOYA(ホヤ)ヴィーナスガードコート ラピスの分光透過率曲線。
(出典)http://www.vc.hoya.co.jp/lens/product/venusguardcoatlapis.html
HOYA(ホヤ)の公式サイトによると、2月21日(火)に発売されたヴィーナスガードコート ラピスのキャッチフレーズは「青色光を軽減して目にやさしさを。」。波長ごとの光の透過率を示す分光透過率曲線(写真3)を見ると、従来のコーティング(ヴィーナスガードコート)に比べて、ブルーライト(青い光)をおよそ10%ほどカットしていることがわかる。
また、セイコーオプティカルプロダクツのプレスリリースによると、4月2日(月)に発売されるスーパーレジスタンスコートBR(ビーアール)は、「青色光を約11%カット」するという。
まぶしさは抑えられ、コントラストはアップ
(写真4)by aditza121
ヴィーナスガードコート ラピスやスーパーレジスタンスコートBR(ビーアール)が表面に施されたレンズは、ブルーライト(青い光)をカットすることで、まぶしさはカットされながらも、コントラストが上がり、文字や輪郭などがよりハッキリ見えるようになることが期待できる。
ただし、見え方には個人差があるので、メガネ店でサンプルを試しながら、じっくりと検討してみるのがおすすめだ。
カラーなしでもOK、シーンに合わせてカラーを選ぶとさらに効果アップ
ヴィーナスガードコート ラピスやスーパーレジスタンスコートBR(ビーアール)は、どちらもレンズ表面のコーティングなので、レンズにカラーを入れなくても、ブルーライト(青い光)をカットする効果が得られる。
そのため、ビジネスシーンなど、カラーが入ったメガネをかけるのに抵抗がある場面でも使うことができるのはうれしい。
(写真5)セイコーオプティカルプロダクツの「ファンクションカラー」。
(出典)http://www.seiko-opt.co.jp/lens/function.html
さらに、パソコンやゴルフ、ドライブなど、使うシーンに合わせてカラーをつけると、より高い効果が期待できるので、メガネ店のスタッフと相談し、サンプルをじっくりと試しながら、自分だけのカスタムメガネを作ってみるのもおすすめだ(写真5)。
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近視・遠視・乱視はもちろん、遠近両用など幅広いレンズに対応
ヴィーナスガードコート ラピスやスーパーレジスタンスコートBR(ビーアール)は、「コート」という名の通り、レンズ表面につけるコーティングなので、近視・遠視・乱視はもちろん、遠近両用・中近両用など、度付きレンズに幅広く対応しているのもポイント。
メガネ店で度数を測ってもらいながら、自分の目やライフスタイルに合った度数・レンズを選んだ上で、これらのコーティングを加えると、よりいっそう効果が期待できるだろう。
(写真6)HOYA(ホヤ)のREMARK(リマーク)は、近くのものを見るときにサポートしてくれるレンズ。
(出典)http://www.vc.hoya.co.jp/lens/product/remark.html
まだまだ老眼世代ではないけれど、パソコンなどで目が疲れるというひとには、HOYA(ホヤ)のREMARK(リマーク)というレンズもおすすめ(写真6)。
REMARK(リマーク)は、レンズの下の方が近くのものを見やすい度数になっているので、眼の疲れを和らげる効果が期待できるというもの。ヴィーナスガードコート ラピスでブルーライト(青い光)をカットしながら使えば、より目に優しいレンズとなりそうだ。
ただし、いくつか注意点も
(写真7)ヴィーナスガードコート ラピスはレンズ裏面の反射が気になることや、黄色みがかって見える場合も。
(出典)http://www.vc.hoya.co.jp/lens/product/venusguardcoatlapis.html
HOYA(ホヤ)の公式サイトには、ヴィーナスガードコート ラピスの注意点として、次のことが挙げられている。
なお、すでに発売されているブルーライト(青い光)をカットするレンズコーティングでも、同じようなことが注意点として上げられている。詳細については、以下の記事を読んでほしい。
キズやホコリにも強い
ヴィーナスガードコート ラピスとスーパーレジスタンスコートBR(ビーアール)は、ブルーライト(青い光)をカットするだけでなく、キズやホコリに強いことも見逃せない。
ホコリがつきにくいということは、レンズを拭くときに細かなホコリでレンズを傷付けるということを防ぐことができるほか、花粉もつきにくいので、花粉症に悩むひとにとってはうれしいレンズと言えよう。
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Zoff(ゾフ)からは、特殊カラーでブルーライト(青い光)をカットするレンズが発売(度付き・度なしともあり)。
JINS(ジンズ)からは、ふだんメガネをかけていないひとに向けて開発された、ブルーライト(青い光)を約55%カットするメガネが発売中(今後、度付きも対応予定)。
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