毎日新聞の報道によると、メガネ販売会社クラモト(山口県下関市、以下めがねのクラモト)が、3月25日(日)に従業員530人全員を解雇し、破産申請の準備に入った。負債総額は5~6億円とみられている。
めがねのクラモトは、「視力測定車」を使った訪問販売の方法に問題があるとされ、2月10日から6ヶ月間、業務の一部停止命令を受けたことで信用が低下。販売が激減し、新規融資も受けられなくなったことで、業務継続を断念した。
業務停止命令を受けた4つの理由
(写真1)特定商取引法違反の訪問販売業者に対する 業務停止命令(6か月)について
めがねのクラモトは特定商取引法に違反しているとされ、経済産業省 四国経済産業局および愛媛県から、2月10日(金)から8月9日(木)までの6ヶ月間、訪問販売に関する業務の一部(新規の勧誘、申込の受付及び契約締結)を停止するよう命じられた。
上記リンクなどによると、その理由は次の4つとなっている。
勧誘目的不明示(特定商取引法第3条)
めがねのクラモトは、視力測定をおこなう前に勧誘目的、つまり「メガネを販売する」ということを告げなければならなかったにもかかわらず、「目の検査をしてみませんか?」などとだけ告げて、消費者を視力測定車の中に誘い入れたことが、問題とされている。
めがねのクラモトの従業員が、消費者宅を訪問した際に、「目の検査をしてみませんか?」などと、視力検査をおこなうことだけを告げて、視力測定車の中に消費者を誘い入れた。
車内で視力測定を終えたあとではじめて、「メガネを作りましょう」などと、“メガネを販売する”という勧誘目的を告げ、メガネを販売したことが、特定商取引法第3条にある「勧誘目的不明示」にあたるとされた。
(写真2)めがねのクラモトの視力測定車の内部。「測定機器など常に正常に安定して動作するように独自開発した電源設備をはじめ、店舗と同様の一連作業が行える最新コンピューター設備」が整っているという。
(出典)http://meganenokuramoto.com/business2.html ※現在はアクセスできない。
再勧誘(特定商取引法第3条の2第2項)
消費者が「めがねは必要ありませんし、いりません」などと言って、メガネを買う意志がないことを示したにもかかわらず、めがねのクラモトは、メガネを買うよう再度すすめたことが、特定商取引法第3条の2第2項にある「再勧誘」にあたるとされた。
公衆の出入りしない場所での勧誘(特定商取引法第6条第4項)
めがねのクラモトは消費者宅を訪問し、「目の検査をしてみませんか?」などとだけ告げて、視力測定車の中に誘い入れた。
視力検査をおこなったあと、そのまま車内、すなわち不特定多数の一般人が自由に出入りしないところで、「メガネを作りましょう」などと、勧誘したことが、特定商取引法第6条第4項にある「公衆の出入りしない場所での勧誘」にあたるとされた。
迷惑勧誘(特定商取引法第7条第4号、省令第7条第1号)
めがねのクラモトは、消費者が何度も断っているにもかかわらず、メガネを買うよう執拗に勧誘を続けていた。
事例にもあるように、「メガネを買わないと帰ってくれない」、あるいは「視力測定車から出してもらえない」と思うくらい、執拗に勧誘を続けるなど、消費者が迷惑を感じるような方法で勧誘していたことが、特定商取引法第7条第4号、省令第7条第1号にある「迷惑勧誘」にあたるとされた。
(写真3)めがねのクラモトのホームページには、「視力測定車の活躍」と題して、「あなたの快適視力応援します!」、「走るメガネ店として親しまれています」と書かれている。
(出典)http://meganenokuramoto.com/business3.html ※現在はアクセスできない。
なお、めがねのクラモトがおこなっていた訪問販売の実態については、業務停止命令が下った際に掲載した記事で詳しく紹介している。
信用低下により販売が激減、新規融資も受けられず
(写真4)めがねのクラモト ホームページ(スクリーンショット)
毎日新聞の報道によると、めがねのクラモトは業務の一部停止命令を受けたことで信用が低下し、得意先としていた学校関係や農協などでの販売が激減。さらに、取引銀行から新規融資を断られたことで、業務継続を断念したという。
すでに GLAFAS(グラファス)でも報じたように、めがねのクラモトの訪問販売についての相談は、2009年度以降だけで約300件寄せられていたうえに、業務停止命令を受けたとあっては、信用が低下してしまったのも致し方ないと言えるだろう。