メガネスーパーなどを運営するビジョナリーホールディングスは6月26日(水)、ベルサール八重洲(東京都中央区)にて2019年4月期決算説明会および事業戦略説明会を開催した。
ビジョナリーホールディングスの2019年4月期の業績は、売上高は264億8,500万円、前期比21.6%増を記録。本業のもうけを示す営業利益は9億3,200万円(前期比30.1%増)、本業以外の損益を加えた経常利益は8億5,200万円(前期比45.1%増)、企業の収益力を示す指標のひとつであるEBITDA(※1)は、15億8,700万円(前期比27.3%増)と、いずれも前年に比べて大幅に増加した。
小売事業、EC事業ともに好調だったことに加え、今期より開始した卸売事業の業績が加わったことが増収増益の要因だとしている(※2・※3)。
19/04 通期連結業績
2020年4月期の業績は、売上高293億円(10.6%増)、EBITDA17億円(7.1%増)営業利益6億1,000万円(34.6%減)、経常利益4億9,000万円(42.6%減)を見込んでいる。減益を見込む理由として、2018年8月に子会社化したVISIONIZE(ヴィジョナイズ)ののれん代償却費が一時的に増えることが挙げられた。
20/04期 業績予想
2012年1月より事業再生支援を受けていたメガネスーパーは、2013年6月に星崎氏が社長に就任以降、経営改革を進め、2016年4月期に9期ぶりに黒字化を達成。2017年11月には、メガネスーパーの完全親会社としてビジョナリーホールディングスを設立し、持株会社体制に移行(※4)。その後も好調な経営を続けている。
メガネスーパーの業績が好調を続ける理由や同業他社に対する強みなどを、決算説明会・事業戦略説明会から見ていきたい。
ビジョナリーホールディングス社長 兼 メガネスーパー社長 星崎尚彦氏
※1:イービットディーエー、イービットダー。営業利益+減価償却費(有形・無形固定資産)+長期前払費用償却費+除去債務償却費用+のれん償却費+株式報酬費用。
※2:「メガネスーパー運営のビジョナリーホールディングスが新会社を設立、卸売やメガネ店支援などを強化」
※3:「メガネスーパーを運営するビジョナリーホールディングスがマルコリン日本総代理店のVISIONIZE(ヴィジョナイズ)を買収」
※4「メガネスーパーが持ち株会社を設立、同業他社との提携やウェアラブル端末を強化し事業拡大へ」
業績好調の原動力は「アイケア」
ビジョナリーホールディングスでは、2014年6月に掲げた「アイケアカンパニー宣言」の下、日本人の眼の健康寿命を延ばすことを目指し、以下のアイケアサービスを展開している。これらのアイケアサービスが業績好調の原動力であり、同業他社に対する大きな強みとなっている。
- 視力だけでなく生活環境や目の調節力(ピント合わせ能力)も考慮した「トータルアイ検査」
- 見るチカラに影響する緊張状態をほぐし、検査の精度を向上させる「アイケアリラクゼーション」
- 色覚特性(かつての色盲・色弱)を補正する「色覚特性対応レンズ」
- 業界最高クラスで購入後のサポートを提供する「HYPER保証システム」
- メガネを最適な状態に調整する「パーフェクトフィッティング」
- 月額1,000円の定額制でフレーム・レンズが交換し放題。視力の変化や紛失、破損などに対応する「こども安心プラン」
- 自宅や施設などで店舗と同様のサービスを提供する「メガネと補聴器の出張訪問サービス」
ビジョナリーホールディングスグループのアイケアサービス
アイケアサービスをさらに充実させた「次世代型店舗」
メガネスーパーでは、アイケアサービスの開始以降、百貨店や老舗専門店からの顧客流入が増加し、平均単価が上昇したことから、アイケアサービスをさらに充実させた「次世代型店舗」を開発。2017年11月にオープンした高田馬場本店を皮切りに、既存店の「次世代型店舗」への移行を順次進めている。
次世代型店舗では、ゆがみが少ないクリアな見え方が得られるプレミアムレンズの販売比率が増加し、販売単価が上昇。「口コミや紹介」「検査技術・品揃え・接客への期待」を来店の動機に挙げる顧客が増えたという。
メガネスーパー 高田馬場本店
(2017年11月撮影)
次世代型店舗の高田馬場本店では40項目にも及ぶ検査をおこなう。
ここまで細かな検査をおこなうメガネ店は、国内でも少ない。
次世代型店舗では「アイケアリラクゼーション」「夜間視力検査」「色覚補正レンズ」を導入してアイケアへの取り組みをさらに強化。
次世代型店舗:コンセプト
次世代型店舗は、悩みを安心して相談したり、じっくりと検査が受けられるよう、上質な装飾が施され、パーソナルな空間を確保しているのも特徴。
次世代型店舗への移行状況
398店舗中45店舗、全体の11.3%が次世代型店舗に移行。顧客満足度調査によると、来店動機として「口コミや紹介」「検査技術・品揃え・接客への期待」を挙げた割合が増加している。
主要KPI:メガネ
ゆがみが少ないクリアな見え方が得られるプレミアムレンズの販売比率が増加。2015年4月期には25.3%だったプレミアムレンズ比率が、2018年4月期には全店(既存店)で69.5%、次世代型店舗では73.2%にまで増加。中でも高田馬場本店のプレミアムレンズ比率は81.9%にまでおよぶ。
それにより、販売単価は2015年4月期の27,595円から2018年4月期には全店(既存店)では35,135円に、次世代型店舗では37,067円、特に高田馬場本店では46,829円と大幅に上昇。業績アップにつながった。
メガネと補聴器の「出張訪問サービス」
ビジョナリーホールディングスグループでは、店舗へ足を運ぶのが難しい人のために、出張訪問販売サービスを展開している。検査機材を装備した専用車両が全国に50台以上配備されており、メールまたは電話で希望の日時を連絡すれば、ベテランスタッフが指定の場所に訪問してくれる。
出張訪問販売
自宅のほか、高齢者施設、病院、企業などにも出張訪問している。
出張訪問販売:実績推移
出張訪問サービスは、2016年4月期に専門部署を設立以来、右肩上がりの成長を続け、前第4半期比121.6%、通期では150.2%と拡大中。
世界トップブランドの日本総代理店を子会社化、販路・卸売拡大
2018年8月に子会社化した VISIONIZE(ヴィジョナイズ)の存在も、ビジョナリーホールディングスにとって強みだ。
VISIONIZE(ヴィジョナイズ)は、TOM FORD(トム フォード)や CELINE(セリーヌ)、BALENCIAGA(バレンシアガ)など、世界トップブランドの日本総代理店として安定した顧客基盤を構築。2018年5月に設立された VisionWedge(ビジョンウェッジ)とともに、ビジョナリーホールディングスの卸売事業として、事業領域の拡大と業績向上に貢献している。
「VISIONIZE | ヴィジョナイズオフィシャルサイト」
(スクリーンショット)
加えて、直営店 EYESTYLE(アイスタイル)を都内に4店舗、名古屋に1店舗展開しており、店舗開発や商品開発に長けているのも、VISIONIZE(ヴィジョナイズ)の特色だ。2019年春より、東京・大阪の主要百貨店5店舗にメガネ・サングラス売場を出店したほか、新コンセプトショップ「MEGANE SUPER 吉祥寺SUNROAD店」にも、VISIONIZE(ヴィジョナイズ)の商品と店舗ノウハウが生かされている(※5・※6)。
※5:「VISIONIZE(ヴィジョナイズ)が東京・大阪の百貨店でメガネ・サングラス売場の運営・出店を拡大」
※6:「メガネスーパーが吉祥寺に新コンセプト店舗オープン、トム フォードなど人気ブランドが充実、アイケアリラクゼーションも」
EYESTYLE GINZA
詳細はコチラ
MEGANE SUPER 吉祥寺SUNROAD店 店舗イメージ
卸売事業
2018年5月:卸売事業を本格展開のため VisionWedge(ビジョンウェッジ)社を設立。
2018年8月:VISIONIZE(ヴィジョナイズ)社の全株式を取得し完全子会社化。
EYESTYLE(VISIONIZE社)との事業シナジー
2019年2月:伊勢丹新宿店本館1階サングラスコーナーの一画で売場運営を開始
2019年2月:阪急うめだ本店 1階 サングラス売場の一画で売場運営開始
2019年3月:MEGANE SUPER 吉祥寺SUNROAD店 新規オープン
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