2020年度 グッドデザイン賞 メガネ・サングラス関連の受賞結果まとめ- GLAFAS(グラファス)

2020年度 グッドデザイン賞 メガネ・サングラス関連の受賞結果まとめ

2020年度 グッドデザイン賞 メガネ・サングラス関連の受賞結果まとめ

© JDP GOOD DESIGN AWARD

公益財団法人日本デザイン振興会は10月1日(木)、2020年度グッドデザイン賞の受賞結果を発表した。

2020年度は、4,769件の審査件数の中から1,395件が「グッドデザイン賞」を受賞。この中には、独自性、審美性、完成度などの面で特に優れ、これからのモデルとなるデザインに贈られる「グッドデザイン・ベスト100」の100件も含まれる。

あわせて、長年にわたり支持され続けてきた商品などのデザインに贈られる「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」19件も発表された。

「グッドデザイン賞」の受賞対象の中から、メガネ関連のものをまとめて紹介する。


眼鏡 [JINS SCREEN Nose-Pad Less]
株式会社ジンズ

※「グッドデザイン・ベスト100」を受賞

眼鏡 [JINS SCREEN Nose-Pad Less]

© JDP GOOD DESIGN AWARD

概要

「JINS SCREEN Nose-Pad LessⓇ」は、鼻パッドの無い眼鏡です。眼鏡に関するお悩みで常に上位にあるのが、鼻パッドによる鼻周りのお悩みでした。これを解決する為に新たな眼鏡構造を開発、Nose-Pad Lessが誕生しました。

デザイナー

株式会社ジンズ アイウエア事業統括本部 商品マーケティング本部 デザイナー 水主悠樹

背景

眼鏡に関するお悩みで常に上位に位置するのは、老若男女問わず「鼻パッド・鼻盛りに関するお悩み」です。「鼻の部分が重く気になる」「鼻の部分だけファンデーションが取れる」という声から、「鼻にずっと当たっている為、肌の色が変わってしまう(色素沈着)」というお悩みまであり、これらによって眼鏡を敬遠したり、我慢して使い続けて頂いているのが現状でした。また、700年以上の歴史を持つ眼鏡において鼻パッドは、手前側の重さを支える為必要不可欠のものと考えられ、手がつけられないままになっているのが現状でした。

経緯とその結果

鼻パッドによるストレスを無くす為、新たにシーソーパーツを開発しました。眼鏡をかける際、つるの先が広がる動きを利用し、シーソーパーツが顔にフィットし固定が可能です。眼鏡が鼻にあたらない為、鼻に跡がつきにくく快適な眼鏡体験を提供します。頭の幅により掛け心地が大きく変化する為、男女の平均的な頭の幅の寸法を元に試作品を何度も製作しました。鼻パッドが無くても「顔に固定できること」「痛くないこと」「眼鏡としての美観を損ねないこと」を同時に実現する為、実物による検証を重ねました。社内装用テストを行い、対象者には掛け心地に関しての定性評価を実施。最も評価が高いものを、今回世に出すこととなりました。また、フレームには弾力性のある素材を使用、シーソーパーツは手で曲げられる為、お客様の顔に合わせて調整が可能です。結果として、様々な方に手に取って頂ける製品となりました。

審査委員の評価

鼻パッドのない眼鏡でありながら、着用した際のかけ心地が驚くほどよく、またかけた際の自然な外見を実現できている点に評価が集まった。シーソー型のパーツが顔にフィットしながら可動することで眼鏡がずれることもなく、鼻パッドのない利点を大いに活かせる製品である。

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Beta Titanium Eyeglasses [Tidou Eyewear]
Koo Wing Cheong

Beta Titanium Eyeglasses [Tidou Eyewear]

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概要

Tidou Beta Titanium Eyeglasses Series are using Beta Titanium material, that material advantage is very high tensile strength as well as good toughness. In addition, This material is very lightweight. The Iconic design PAUSE "II" is giving to each frame a unique identity. Exclusive screwless patent design that is simple and quick to assemble the frame.

デザイナー

Koo Wing Cheong/ Tse Siu Kit

背景

Our patent design concept comes from the side release buckle. We can find this small thing on handbags, purses and belts... etc. around in life. The unique structure of TIDOU is using this extraordinary buckle tight to connect the front frame and temple together. In addition, Tidiou's frames are using Beta Titanium material that makes the frame light and noble.

経緯とその結果

A major feature of TIDOU is that it has no screw and no soldering, which makes the glasses frame lighter, flexible and comfortable. In addition, each accessory can be separated and easily mended or repaired. Therefore, it can extend the life of using.

審査委員の評価

チタニウム合金を使用した軽量な眼鏡は、業界においてはそれほど目新しいものではない。しかしこの製品では、バッグ類で多用される樹脂バックルにヒントを得た、非常にシンプルな構造でフレームとテンプルを接続している点を特に評価した。複雑な可動部にネジや溶接を使わないことで組み立てや修理の容易性を高めていることや、高張力で変形しにくい合金をフレームに採用していることは、長期使用を可能にすることに寄与している。ただし、高価格商品であることからも、よりユーザー価値を明確にするブランディングを今後期待したい。

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メガネレンズ [ピュアブルーUV]
株式会社ニコン・エシロール

メガネレンズ [ピュアブルーUV]

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概要

ピュアブルーUVは、我々の日常生活で目にダメージを与える強い光をカットしながらも、普段使いとしてすべての人にかけてもらえるメガネレンズの常識を変える新スタンダードレンズです。私達は紫外線・ブルーライトをカットしつつ、黄ばみのない無色クリアの見た目をもつ光ストレス対策レンズ、ピュアブルーUVを開発することに成功しました。

デザイナー

株式会社ニコン・エシロール 開発本部 製品開発部 国内NPIグループマネージャー 進大治

背景

アクティブシニアを中心に目の健康に対する意識は高まっています。消費者調査では、脳の病気や循環器系の病気よりも目の病気を気にしている人の割合が高いとの結果もあり、実際眼科の医療費は年々増加傾向にあります。実際に日常の光は目の病気の主な原因として報告されており、紫外線は白内障や翼状片そしてブルーライトは加齢黄斑変性や目の疲れの原因と言われています。このような日常の光に起因し、安心・快適な視生活に影響を与える光ストレスに対応する商品が求められています。しかしながら、光ストレス対策レンズはメガネレンズ市場の2割弱にとどまり必ずしも浸透をしているとは言えません。自社が実施した消費者調査では、今の光ストレス対策レンズは黄ばみが大きなネガティブポイントとなり、使用したくないとの声が多数見られました。そこでもっと多くの消費者に受け入れられるような黄ばみフリーのブルー&UVカットレンズの商品を企画しました。

経緯とその結果

ピュアブルーUVではメガネレンズ市場の約8割を占める従来のクリアレンズユーザーでも、クリアレンズの快適さを決して妥協することなく、ブルーライトと紫外線の両方の光ストレス対策ができるデザインの実現を目指しました。自社で行った消費者調査によると、クリアレンズのユーザーはレンズの黄ばみに対するネガディブ意識が大変高く、光ストレス対策レンズを選ぶ上でのレンズのクリアさは非常に重要なポイントであることが分かりました。そこで、ブルーライトカット率が90%を超えるような既存の商品でたびたび指摘されていた「視野が暗く感じる」もしくは「レンズが黄ばんで見える」といった欠点を1から見直すことにしました。ピュアブルーUVはクリアレンズを使っている方でも快適に使用できる「使い心地」と「カット性能」のバランスを考えたうえで、クリアレンズとして許容できるギリギリのブルーライトカット率80%の商品の開発に至りました。

審査委員の評価

「紫外線」と「ブルーライト」が目に与える影響は、もはや顕在化した問題である。 光ストレス対策レンズが普及しない原因であるクリアさの獲得は、棚上げしてきたこの問題を真正面から解決する方法であり、開発に向けた強い姿勢を感じられた。 通常レンズと変わらぬクリアさは、明らかに感じられるレベルであり、その効果との両立に評価が集まった。 また、価格の努力も優れており、この問題に悩む人々のニーズに無理なく応えるものであり、今後のスタンダードとなる可能性を感じる事ができる製品である。

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メガネ店 [JINS京都寺町通]
株式会社ジンズ

メガネ店 [JINS京都寺町通]

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概要

京都の寺町通沿のビルの1階にあるメガネ店である。前からあったかの様にコンクリートの平屋を2棟建て、それらの内外の空間を利用し売場にしている。店舗の内装は通常3〜5年で全く異なる意匠に改装されてしまうが、コンクリートの構造を利用しつつ改装することで、古い町屋の様に文脈を繋ぎながら長く使っていくという試みである。

デザイナー

株式会社中村竜治建築設計事務所 中村竜治、若木麻希子+満田衛資構造計画研究所 満田衛資、佐藤陽介+高い山株式会社 山野英之、渡辺竜也

背景

場所は京都の寺町通沿に当初建設中だった鉄骨9階建てのビルの1階で、町屋をイメージした京都らしいお店をつくりたいというのが施主の希望であった。外国人が多く訪れる場所でもあり、より普遍的な京都らしさが求められた。建物が真新しいということもあり、その中に町屋風の内装を作っても、薄っぺらいものにしかならないことは容易に想像された。一般的に店舗の内装は3〜5年で定期的に異なる意匠に改装されるが、京都という場所を考慮したときに、その様な容易に交換可能なものではなく、もう少し周囲の文脈を意識したこの場所ならではの考え方が必要であった。京都の町屋は古い柱や梁などをうまく活かしながら手を加えていくことで魅力的な空間を生み出している。同様に街も昔からの壊せない部分と新しいもののせめぎ合いの中で活き活きとした風景や空間が生まれている。その様な京都という街がもつ時間的な特徴を抽出して空間に活かせないかと考えた。

経緯とその結果

短いスパンで綺麗さっぱり改装されてしまう内装ではなく、古い町屋の様に少しずつ手を加えながら長く使われていく内装がつくれないか?と考えた。建物の中にあえて動かしがたい現場打ちコンクリートの平屋を2棟建て、改装の際にもそれらを利用しながら空間をつくることで、何らかの文脈を引き継ぎながら長くこの場所を使っていくという仕組を用意した。物理的にも意味的にも動かし難いコンクリートの構造体は、改装への足枷でもあるが、同時に発想への手がかりにもなる。例えば、平屋の内側がメガネの展示室として、外側が受付や測定や待合として使われているが、次の改装時には、その内外の使い方を反転したらどうなるのか?といった様な空想を掻き立てる。また、内装がビルから引き剥がされビルと対峙することで、通常見ないふりをしてしまいがちなビルの外壁も、このお店には欠かせない要素となっていく。

審査委員の評価

京都という場所のもつ文脈からスクラップアンドビルドが常である商業の内装のサイクルとは一線を画し「長い時間」というものに着目したデザイン手法が興味深い。鉄骨造のビルの中に鉄筋コンクリート造の建築をつくり建物と内装の関係を反転、足かせともなるが、発想への手がかりともなるコンクリートの構造体の採用など、常に逆転の発想で構成された空間は非常に新鮮で常に未完成である。これからを想像する余地を残した考え方が非常に魅力的である。

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野球用サングラス [スワンズ フェイスワン]
山本光学株式会社 代表取締役 山本直之

野球用サングラス [スワンズ フェイスワン]

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概要

「FACEONE」は、野球に特化したスポーツサングラスです。サングラスに求められる「眩しさを防ぐ」という要素はもちろんの事、野球特有の瞬発的運動に食らいつくホールド感や、野球ボールをはっきりと見せるレンズ機能を搭載した、野球専用モデルとなります。

デザイナー

山本光学株式会社 商品企画部SWANSクリエイティブセンター 生田稔/技術開発部DP開発課 福山智之

背景

最近ではデイゲームや昼間の屋外練習で野球選手の多くが着用しているサングラス。以前ではあまり見られなかった光景ですが、眼に対する紫外線の害が認知されてきたことを示しています。しかし野球選手の多くは使用しているサングラスに満足していない状況でした。以前よりプロ野球選手との関わりの中で、最も多かった意見は「とにかくズレないサングラスが欲しい」という事でした。野球の運動特性として、静止した状態から激しく動くような、瞬発的運動が挙げられます。それは「走・投・打」に代表される動きで、他のサングラスを使用するスポーツには無い激しい動きです。それこそが、これまで汎用モデルのスポーツサングラスを使用していた選手が満足できていなかった理由です。そこで我々は、野球特有の瞬発的運動に食らいつき、顔からズレることのない野球用サングラスを開発しました。

経緯とその結果

日本で最も人気のあるスポーツはやはり野球です。部活動として野球を経験した人はもちろんですが、経験のない人でも贔屓球団を持つ野球ファンというのは非常に多く存在します。そんな国民から愛される野球において、決定版ともいうべきサングラスを作りたい、というのが出発点です。そのためには先述の通り、野球特有の激しい瞬発的運動に耐えうる画期的なサングラスを開発し、野球のトッププロから認められる必要がありました。そこで行ったのが徹底的なヒアリングと人頭データの収集です。大学野球部より協力を頂き、野球選手の頭部形状をスキャニング、平均的な頭部データの導き出しを行いました。そのデータを元に作成した3Dプリンタ出力によるプロトを持参し、プロ野球の秋季・春季キャンプに2年赴きました。様々なトライ&エラーを繰り返してこのFACEONEは誕生し、今年の春季キャンプにて多くの選手が着用し、プレイする姿が見られました。

審査委員の評価

野球特有の瞬発運動時にもずれがないサングラスである。多くのヒアリングと頭部3Dデータの解析から生まれた、こめかみで固定する独自のホールディング構造を開発。こめかみのパッドはサイズを調整することができ、様々な頭部の形にフィットする。野球独自の広い視野角にも対応するレンズと共に、つけていることが気にならない自由なプレイが可能になる商品として評価された。

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