“世界三大デザイン賞”のひとつ、「iF DESIGN AWARD(iFデザインアワード)2021」を受賞したデザインが4月14日(水)に発表された。
iFデザインアワードは、ドイツ・ハノーファーを拠点とするiF International Forum Designが1953年より主催するデザイン賞。優れたデザインの証(あか)しとして世界で広く認知されており、アメリカのIDEA賞(International Design Excellence Awards)、ドイツのレッド・ドット・デザイン賞(red dot design award)と並んで、「世界三大デザイン賞」と呼ばれている。
応募分野は今年度から追加された2つを含む、以下の9分野で構成されている。
- プロダクト
- コミュニケーション
- パッケージ
- 建築
- インテリア・内装
- プロフェッショナルコンセプト
- サービスデザイン
- ユーザーエクスペリエンス(新)
- ユーザーインターフェース(新)
iFデザインアワード 2021は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、今年度から完全デジタル審査を導入。オンライン・プレセレクションと最終審査からなる、2段階審査に変更となった。98名のデザイン専門家が、52ヵ国からエントリーされた9,509件のデザインを審査し、1,744の受賞社が選出。その中から最も優れたデザインとして、ゴールドアワード75点が選出された。
この記事では、iFデザインアワード 2021を受賞したデザインの中から、ゴールドアワード受賞1点を含む、メガネ・サングラス関連の9点をまとめてご紹介する。
【ゴールドアワード受賞】
LINDBERG thintanium(リンドバーグ シンタニウム)
LINDBERG(リンドバーグ)の新作(特許出願中)「thintanium(シンタニウム)」は、デザイナーとエンジニアがチタンの可能性をより深く追求して生まれた、おそらく世界最薄となるチタン製メガネフレーム。薄く、スタイリッシュで上品なデザインは、アイウェアのトレンドの流れを決めるものとなるだろう。非常に薄いデザイン、そして新開発のスクリューレスフリクションヒンジが、軽さとエレガントな美学の源だ。チタン製フルリム(ふちあり)フレーム同様の安定性を保ちながら、まるでリムレス(ふちなし)のような外観に仕上がっている。
ゴールドアワード受賞についてのコメント
thintanium(シンタニウム)は、LINDBERG(リンドバーグ)が長年にわたり開発に力を注いできた中で、論理的に導き出した結論だ。類い稀なる軽さと安定性を兼ね備えており、メタルフレームの新たなスタンダードとなった。ミニマルを極めたデザインは、見事なまでにシンプルでカスタマイズ性が高く、人間工学的にも非常に優れており、その品質の高さに疑いの余地はない。
メーカー
デザイン
Dr.GRAM(ドクター・グラム)
Dr.GRAM(ドクター・グラム)は非常に軽い、ベータチタン製のメガネフレーム。重さはわずか3gで、織物のような独自のファブリックウィーピングヒンジ構造を採用し、簡単に組み立てることができる。色やデザインの種類が豊富かつパーツが共通化されているので、サステナビリティ(持続可能性)に優れているのも特徴だ。ネジや溶接を用いていないのでベータチタンのロス率が0%に抑えられるほか、製造過程での不要な工程や環境汚染も除去されている。
メーカー
デザイン
F16 and related clip-on(F16 & リレイテッド クリップオン)
F16は3Dスキャン、3Dプリント技術、パラメトリックデザイン(※)を用いて作られる、ジャストフィットして快適なオーダーメイドフレーム。フレームカラーは17種類から、テンプル(つる)カラーは2種類から、それぞれ選択できる。付属のクリップオンサングラスは、クリップオンサングラスとしては初めて3Dプリント技術で作られたもので、フレームに完璧にフィットする。フレームは継ぎ目のない一体構造なので、掛け外しがしやすい。受注生産なので環境にもやさしい。3Dプリント技術とバーチャル試着を組み合わせてメガネフレームを生産している企業はF16だけだ。ワンサイズのみで販売されているメガネフレームも多いが、F16はサイズに制限がない。フレームのオーダーメイドを受注するメガネ店のサポートもしている。
※:「パラメトリック・デザインとは、3D CADで形状を作成する方法の一つであり、寸法値として定義された変数の値を指定して形状を作成する方法のことである。」(出典:「パラメトリック・デザイン とは? | 用語集 | PLM・ナレッジの図研プリサイト」)
メーカー
- Nanjing jianyue intelligent technology co. LTD
デザイン
- Nanjing jianyue intelligent technology co. LTD
New Normal(ニューノーマル)
プロダクトデザイナーのジャスパー・モリソン氏とのコラボレーションから生まれたこのフレームは、アイウェアの理想的な形を問いかけ、再定義している。モリソン氏は日常生活に溶け込む製品を作り、時を経ても愛され続けるデザインを形にすることで、高い評価を得ている。よりユーザーに寄り添うデザインを模索するモリソン氏の姿勢が、「Create New Standards(新たなスタンダードを創造する)」というJINS(ジンズ)のミッションと共鳴したことから、今回のコラボレーションが実現した。その結果、未来に向けた「ultimate basic(究極のベーシック)」として、誰もが掛けられるシンプルで洗練されたアイウェアが誕生した。
メーカー
デザイン
- Jasper Morrison
QSTOM
この製品の最も重要な設計思想は、ユーザーが自分のフレームをカスタマイズできることだ。アセテートとチタンによる二重構造のはめ込み式リムが、この革新的デザインの肝である。このはめ込み式リムが完璧にフィットするよう、チタンの柔軟性を活かした一体構造のフロントを採用した。この革新的な技術は、高級アイウェア市場においてカスタマイズに対するニーズを高めることとなるだろう。
メーカー
デザイン
”メガネ界のアカデミー賞” にもノミネート
SFK-20601
レンズの側面にミゾを掘り、板状のリムをはめ込んでレンズを固定するフレームには、掛け外しの際にかかる力により、レンズの側面を傷付けてしまう商品も多く見受けられる。この特許出願中のデザインは、こうしたレンズの損傷を避けるために開発された。このフレームは板状のメタル素材で作られているが、テンプル(つる)をどんなに大きく広げてもレンズのミゾに力が加わらないので、レンズが壊れることはない。
メーカー
デザイン
Silhouette - Blend(シルエット - ブレンド)
Silhouette(シルエット)の「Blend」は、 SPXとチタンという2つの素材を接着剤なしでつなぎ合わせている。これら2つの素材が見事に調和しつつ、それぞれの特徴が際立っているのが、デザインにおけるポイントだ。高度な技術により、目に見えない部分にスナップ構造を配し、チタン製テンプルとSPX製パーツを接着剤なしでつなぎ合わせることに成功した。土台はゆるやかな円錐形になっており、SPX製パーツをピッタリと固定できる。この優美なSPX製パーツは、先端にメタルリングが施されたモダンと対をなしており、このフレームを強く印象づけている。
メーカー
デザイン
Silhouette Mod.5535(シルエット Mod.5535)
このデザインは、力強いプロポーション、パーツ同士を巧みにつなぎ合わせること、そして課題を高度な技術で解決することに焦点が当てられている。SPXとチタンという2つの素材を接着剤なしでつなぎ合わせるデザインが盛り込まれている。スポーティーなテイストを加えた、モダンかつ時を経ても色あせないデザインに注目してほしい。テンプルをつなぐヒンジにはネジを使用していないのでメンテナンスが不要。ミニマムなデザインも美しく、スムーズな開閉と耐久性を両立している。スペアパーツが用意されており、修理もしやすいので、長く使い続けることができるのも特徴だ。
メーカー
デザイン
SPHERE Technology by STARCK Biotech Paris(スフィア テクノロジー バイ スタルク バイオテック パリ)
Starck(スタルク)のSPHERE(スフィア)ヒンジは、シンプルでありながらも非常にユニークな機能を持っており、アイウェアの未来を見据える、ミニマルを極めた技法だ。デザイン界のレジェンドであるフィリップ・スタルク氏は、「SPHEREは自然界の無限の知性からインスピレーションを得た。SPHEREは世界で最もピュアかつ丈夫な構造を持ち、ミニマルを極めた、本質的な美しさを備えている。」と語る。SPHEREは、フロントに埋め込まれた鋼球が支点となり、テンプルがあらゆる方向へ自在に動くのが特徴だ。フロントはインジェクション(射出成形)で作られたもので、鋼球の重さは0.07g。テンプルは厚さ0.8mmのチタン製だ。この構造により、塗装やその他の製造工程が不要となるため、環境への影響を大幅に軽減できる。
メーカー
デザイン
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