厚生労働省は8月13日(金)、国家資格である「技能検定」の職種に「眼鏡作製職種」を新設したと発表した。
適切なメガネを作製するのに必要な技能と知識が検定の対象となり、1級と2級の等級が設けられる。第1回目の試験は、2022年4月に学科試験が、2022年7月から9月にかけて実技試験が実施される予定となっている。
検定の範囲などについては、眼鏡技術者と眼科専門医との連携も考慮され、以下の内容が盛り込まれている。
- 検定対象とする視力の測定の範囲は、医行為にあたらない内容にすること。
- 目の状態が疑わしい場合や幼児などに作製する場合、初めてメガネを作製する場合には、眼科医への紹介など、眼科医と連携すること。
- 試験問題の作成などをおこなう技能検定委員に、日本眼科医会および日本眼科学会が推薦する眼科専門医も選任すること。
試験業務は、メガネ関連で唯一の公益社団法人であり、2000年より民間検定である「認定眼鏡士」の試験や教育をおこなっている、日本眼鏡技術者協会がおこなう。
「公益社団法人 日本眼鏡技術者協会」
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眼鏡作製職種の技能検定に合格した人は、合格証書が交付され、「眼鏡作製技能士」と名乗ることができるようになる。資格を取得している人だけが業務をおこなえる医師や弁護士とは異なり、眼鏡作製技能士の資格を取得してなくても、メガネ店での業務をおこなうことは可能だ。
技能検定は、職業能力開発促進法に定められており、合格に必要な技能と知識は、職種ごとに厚生労働省の省令で定められている。つまり、技能検定に合格した人は、その職種に関して国が定めた技能と知識を持っていると言える。
眼鏡作製技能士の資格の有無は、メガネ店を選ぶ際の参考になるだろう。
「技能検定『眼鏡作製職種』を新設しました|厚生労働省」
(スクリーンショット)
技能検定の眼鏡作製職種とは
厚生労働省によると、技能検定における眼鏡作製職種とは、
眼科専門医との連携を含め、眼鏡を必要とする顧客が視力補正用眼鏡等(※1)を選択し購入する際に、眼鏡店においておこなわれる視力の測定、レンズ加工(※2)、フレームのフィッティング(※3)等の業務に従事する職種
(※1)筆者注:いわゆる度付きメガネ
(※2)筆者注:レンズをフレームに入れる作業
(※3)筆者注:メガネがズレたり下がったりせず、適切な位置に保たれ、なおかつ痛みや不快感を感じないよう、顧客の顔の形状に合わせて適切に調整すること
と定められている。
技能検定に眼鏡作製職種が新設された背景・理由とは
技能検定に眼鏡作製職種が新設された背景・理由などについて、厚生労働省は次のように述べている。
眼鏡作製については、高齢化に伴う目の衰えやスマートフォン等の普及による特に子どもの視力の低下等への対応が求められるなど顧客のニーズが多様化・高度化しており、適切な眼鏡作製を行うに当たって、高度な技能や専門的知識が一層必要とされ、当該技能を有する人材に対する継続的な需要が見込まれるところ。
技能検定に眼鏡作製職種が新設された目的とは
厚生労働省は、技能検定に眼鏡作製職種が新設された目的について、
多様化・高度化する顧客のニーズに伴い、「適切な診断・治療」と「適切な眼鏡作製」の双方の実現に向けて、眼鏡技術者が眼科専門医と連携しつつ、国民により良い眼鏡を提供し、目の健康を守れるよう、眼鏡作製の技能を高めていくこと
だとしている。
技能検定とは
「技能検定制度について |厚生労働省」
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技能検定は、職種ごとに必要とされる技能の習得レベルを、国の制度に基づいて検定する制度である。技能に対する社会一般の評価を高め、働く人々の技能と地位の向上を目的として、職業能力開発促進法に基づいておこなわれている。2020年4月1日現在、130の職種で実施されており、合格者には合格証書が交付され、「技能士」と名乗ることができる。
技能検定の試験は、国(厚生労働省)が定めた実施計画に基づき、中央職業開発協会が試験の問題や実施要領などを作成し、各都道府県が試験を実施するとされている。しかし、2020年4月1日現在、19の職種については、厚生労働省の省令で「指定試験機関」に指定された事業主団体や一般社団法人、一般財団法人、非営利法人により試験が実施されている。