2010年3月某日、 新宿駅東口にある 無印良品 新宿店でメガネを買った。雑誌 MONOQLO 2010年6月号の記事「格安メガネテスト」に取材協力をさせていただき、潜入取材したのだ。
この記事では、JINS(ジンズ)、Zoff(ゾフ)、alook(アルク)、Hatch(ハッチ)、メガネスーパー、無印良品の計6つのメガネ店を潜入取材。ライターの方とともに筆者自らメガネを作り、視力検査(検眼)や掛け具合の調整(フィッティング)などの技術面や、接客サービスについて検証した。
当サイトでは、実際に メガネを買うのと同じ流れで、お店の雰囲気、フレーム選び、視力検査(検眼)、レンズ選び、受け取り時の調整まで、MONOQLOでは誌面の都合上、書ききれなかった部分を含めて、メガネ店勤務16年のプロの目で鋭くチェックしていきたい。
無印らしさあふれるデザイン
無印良品のめがね 公式サイト(スクリーンショット)
無印良品のめがねはデザインや質感、コンセプトまで「無印らしさ」にあふれている。無印のファンなら納得の仕上がりだろう。
「自分だけのめがねが見つかる。」をコンセプトに、レンズを固定するフロント、テンプル(つる)をさまざまな色・素材の中から自由に選ぶことができるのが特徴。数万通りのバリエーションの中から分だけのメガネを作ることができる。
パーツを自由に選べることで、どこか壊れてしまってもパーツだけを交換すれば長く使えるのもポイント。「ものを大切にし、暮らしのムダを減らす」という無印良品のコンセプトが生かされていると言えよう。
今回は、今や定番のウェリントンシェイプにマット仕上げが施された「無印らしい」フレームを選んでみた。
昔ながらのメガネ屋さん風ベテランスタッフが対応
筆者が買いに行ったときには、ベテランとおぼしきスタッフが3人ほどいた。メガネを作っている様子がガラス越しに見えるようになっており、安心感がある。
視力検査(検眼)をお願いした店員さんは良くも悪くも慣れた感じで、メガネ店での経験をかなり積んでいる印象を受けた。シンプルでスマートなイメージの無印良品なのに、昔ながらのメガネ屋さん的なベタな接客というのが、ちょっと不思議な感じだった。
店員さんは手慣れた感じで筆者のメガネの度数を測ったあと、ほかのメガネ店同様、近視や遠視、乱視の度数を器械で自動的に測ってくれた。続いて、今のメガネの視力を確認すると、それ以上詳しい検査はすることなく、目が疲れやすいなら度数を下げるのがおすすめだと言われた。
ベテランならではの視力検査(検眼)
写真はイメージ。by gregor_y
結局、今回取材したほかのメガネ店同様、今までのメガネと同じ度数で作ることにしたのだが、視力検査を受けているというよりは、会話しながら度数を選ぶという感じだった。
今回の店員さんは専門用語が多少多かったものの、見え方についての感覚的な表現や言葉の端々に経験が豊富なことを感じた。きちんと測ってくれなくても、不安もなく納得できるひとも多いと思うほど、慣れた感じのトークだった。
しかし、視力検査や接客に時間を掛けたくないというのがありありと分かってしまったのはとても残念だった。視力があまり変化していないのなら、詳しい検査はせずに同じ度数で作ることをすすめて、早く検査を終わらせようという態度が透けて見えてしまったのだ。
実は、器械が自動的に測った度数と今使っているメガネだけを基準にして度数を選ぶことは理想的ではない。今のメガネがよく見えるからといって、度数が合っているとは限らないのだ。
今使っているメガネが合っているかどうかを知るには、今の近視や遠視、乱視の状態をできるだけ正確に測らなければならない。そのためには、店員さんがレンズを切り替えながら測るのが一番の方法とされている。器械の測った度数はあくまで参考というのが、多くのメガネ店に共通の考え方なのだ。最新の器械はすごく精度が高いとはいえ、器械を100%信用しているメガネ店はないはずだ。
違和感が出るも調整で解消
出来上がったメガネを掛けてみると、床を見たときに違和感を覚えた。それを店員さんに告げると、間髪入れずに「今までのメガネよりもレンズが大きいからです」と言われた。しかし、メガネ店に16年間勤務していた筆者の経験からすると、筆者が感じた違和感はレンズが大きくなったせいではない。
「以前、フレームの角度とかを調整してもらったら、違和感がなくなったことがあるんですけど…」とスタッフに言った。すると、筆者が今まで使っていたメガネと新しいメガネを見比べて、掛け具合を調整してくれた。同じ度数で作っても、フレームの角度や目とレンズの距離が変わると見え方に影響するので、今までのメガネと同じように調整するのがセオリーなのだ。
きちんと調整してもらったことで、床を見たときの違和感は解消した。違和感が出ないよう調整できるのなら、最初からきちんと調整してほしいと思うのは、買う側のワガママなのだろうか?
気になることは遠慮せずに言うのがコツ
気になることや困ったことがあれば遠慮せずに言う。これが格安メガネ店で良いメガネを手に入れるのコツだ。
今回取材した格安メガネ店の多くに、接客時間を短くしようという傾向が見られた。値段が安い分、数を売らないと利益が出ないからだろう。だから、高級メガネ店のようにじっくりと視力検査を受けたり、掛け心地を合わせてもらうことは、正直あまり望めない。値段の差はモノだけでなく、サービスにもあるのだ。
店員さんに文句を付けるみたいで抵抗があるひともいると思うが、格安メガネ店では買う側が口にしないとやってくれないことがあるのが事実だ。視力検査(検眼)でも、掛け心地の調整でも、気になることがあれば、ちょっと勇気を出して店員さんに話してみよう。
※店員さんの知識や技術、経験には個人差があるので、この記事で書いたことは、無印良品の全ての店員さんに当てはまるわけではありません。また、筆者が16年間デパート内のメガネ売り場に勤めていた経験から言って、高級メガネ店でも店員さんによって知識や技術、経験には差があります。
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